柔を守るを強と曰う
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第三十四回
★柳に雪折れなし
一般によく知られている「柳に雪折れなし」という言葉も、老子の言葉に通じる意味を表しています。立派な枝振りで凜として風にも揺らがない松の木よりも、さわさわと風に乗って軽やかに枝をゆらす柳のほうが、強風で折れる事もなく、豪雪にあってもさらりと雪を払い落としてしまうので、雪の重みで折れる事もありません。つまり本当に強いのは、立派な松よりも柔軟な柳なのです。高齢化社会に突入し、複雑なストレス社会を生きる私たち現代人にとって、生涯現役で楽しく元気に生きぬく秘訣は、ストレスをさらりと払い落とし、苦労を背負わない、柳のような柔軟な生き方を選択する事なのです。
★心も体も柔軟になろう
体についても、柔軟な柳になる事が健康の秘訣です。皆さんもご存じのように、私たちの体は年齢とともにだんだん若い頃の柔軟さを失い、堅くなっていきます。血管も老化し、血液の流れも悪くなり、さまざまな成人病の心配も出て来ます。要注意ですね。
そしてまた、考え方が堅いと、体も硬くなりやすいのです。変化の激しい現代で、堅い体で硬直した物の見方をしていると、日常の些細な事が大きなストレスとなり、それが気の滞りを作り出してしまいます。幸せな老後の為に息子夫婦と建てた二世帯住宅も、息子夫婦や孫に気を使い、息子や嫁のちょっとした言動にイライラしたら、楽しい毎日を送るどころか、逆に気の滞りで体調不良を作り出してしまうでしょう。さあ、柔軟になりましょう。年齢を重ねたからこそ、心も体も柔軟に、大らかな気持ちで相手を受け入れてあげましょう。
そしてただ我慢するのでなく、思いを話し合ってみる事で、互いの気が通じ合い、毎日が楽しくなる事でしょう。まず自分から柳になる事こそが、生涯現役の幸せな人生を手に入れる秘訣なのです。 さあ、風に吹かれてさらさらなびく柳のように、さわやかに楽しく生きて行きましょう。
- 1
- 2